■第2章:古物商免許(自動車商)の取得
クルマ中古車の販売業に限らず、中古の商品を売買するものは、古物商免許を持たなければならないと法律(商法)で定められています。
中古品転売セミナーなんかに参加すると、少しイカガワシイような開催者はまったく触れていない場合もありますけど。😭
正式には、各都道府県の公安委員会が発行する古物商許可証というものになります。
1.許可者であれば
転売ビジネスは「せどり仕入れ」での「ヤフオク出品」や、時代は「メルカリ」「フリマ」のような手軽にスマホで出品や落札ができるサイトが主流になっています。
但し、こういったサイトの出品者がみな古物商免許を有しているかといえば、まったくそんなことは無いと思います。
だからOK!・・・ではないですね。
つまり免許がなくても商売はできそうに見えますが、有資格者とそうでない方とは何が違うのかを説明します。
【義務・制約】
古物商免許がなにかというと、盗難品などの発見とその入手経路を特定する為に警察の管轄下でつくられた資格です。
したがって、古物商免許取得者が盗難品らしき物をみつけた時などは、『警察署への通報義務』といった制約がつきます。
これは免許取得の審査においても、盗難品を見つけた時でも通報しないようなひとには免許の申請がおりないようになっています。
まずはこういった免許取得によって、商法上の義務といった制約がつくところが有資格者の大事な点となりますね。
義務と制約だけでは資格を得たいと思うひとがいなくなりますので、実は古物商免許を取得すると商売をしていく上で良い点があります。
少し紹介します。
【良い点・メリット】
有資格者は、まず個人ではなく業者であるということです。
これは法人ではなくても、会社や店舗を持っていなくても、活動していなくても免許を取るだけで立派な業者です。
運転免許証もペーパードライバーがいますね・・ちょっと違うか(‘-‘*)
(1)業者価格での取引(業販)
自動車本体に限らず、関連部品パーツなど全てが対象です。
タイヤ、ホイール、オーディオ、エアロパーツ、オイル、工具、ケミカル用品、純正部品、車検や板金・修理の工賃等々、全てが業者価格で購入できるのです。
もちろん、これらの価格は、ディスカウントショップなどの比でないほど安いです。
仮に車の販売を目的にしない人であっても、免許さえもっていれば、カーライフにおいて、十分に活用できる、とてもメリットのある話しであることに違いありません。
(2)業者間取引での代金支払い期日
(1)の業者間取引では、取引先によって代金の支払い方法が、二通りにわかれます。
①これから先、継続的に取引がある所
陸送業者や部品屋さん、修理工場、ガソリンスタンドの洗車等
②単発的にしか取引がない所
エアロパーツやオーディオなどを直接メーカーから取り寄せる等
継続的に付き合っていくような所は、支払いが月末締めの翌月末支払いというところが、ほとんどです。要はツケが利くようになっているということです。
ツケが利くということは、現金がなくても商品が発注できるということですので、支払い期日までに、お客さんから集金できれば、自分のお金は一切使わず商売ができる訳です。
上の②の場合でも直接取り寄せれば金額は安いですが、現金払いが辛い時などは、①の継続取引のある部品屋さんなどを通して注文すれば、ツケが利くわけです。
※クレジットカードを使用した時と同じような感じですので、支払い期日までに間に合うよう資金繰りを考えておかないと、後で大変な思いをすることになりますので注意しましょう。
(3)高額車の取得税免除(商品車登録)
以前は高額車に乗る場合に、車両本体価格から計算された取得価額金額の5%の取得税がかかっていました。この取得税が、古物商免許をもった業者だと免除されたのです。
これで非課税となるのは、商品車です。
商品車というのは文字通り商品です。
自分で消費するものは商品とは言いませんので、厳密には非課税になった商品車を自分の自家用車として乗れない事になり、節税ではなく脱税になってしまうわけです。
しかしそれが売る為の商品なのかどうかは、本人しかわからないことなので、乗っていたからといって、どうこうなるという話しは聞いたことはありません。
2019年10月からの消費税率10%への引き上げに際して、この取得税は撤廃されました。
ということは「商品車」という概念もなくなり、名実ともに商品車を自家用同等に乗ることができるようになっています。(あくまでも勝手な概念?ですが)
(4)業者ネットオークションに参加できる
これがいちばん大きいですね。
自動車仕入れでネットオークションに参加しようと思えば絶対必要になって来ます。
また、インターネットでの車専門サイト(カービューやカーセンサー等)で販売をしようとする時は会員になる為に提示が求められます。
2.古物商免許の申請
それでは、どのようにして古物商免許を申請して取得するのか、説明していきましょう。
【許可の基準】
古物商免許取得の前提条件になるものです。
普通に生活している人なら問題なくクリアできるはずです。
(1)成人被後見人、被補佐人または、破産者で復権を得ない者
(2)禁錮以上の刑、又は特定の犯罪により罰金の刑の処せられ、5年を経過していない者
(3)住所の定まらないもの
(4)古物営業法の行政処分(許可取消)を受けてから、5年を経過していない者
(5)営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
【古物商免許申請の手順】
(1)警察署の生活安全課へ行き申請書をもらう
いかがわしい雰囲気の人に対しては、警察の方も警戒して話しをしてくると思われます。身なり、言動には十分注意が必要です。
特に警察署や担当官しだいで差があると聞いていますので万全の注意を払って!
ここで申請書をもらい、記入方法と必要書類等の説明を受けます。
(2)申請書に記入する
1.記入場所
事前に必要書類を揃えて申請書をもらいに行けば、その場で書き込んで申請することもできますが、ここは家に持ち帰って、落ち着いて記入して下さい。
このような書類は誤字・脱字とかで、はねられることもあるので、丁寧に書きましょう。
特に、警察への書類は、細かいところまで、うるさいので注意が必要です。
2.営業内容の選択
古物商免許では、営業内容について、以下のように区分しています。
この中から、自分のはじめたいものを選んで申請します。
(1)美術品類(書画、彫刻、工芸品等)
(2)衣類(和服類、洋服類、その他衣料品)
(3)時計・宝飾(時計、眼鏡、宝石類、貴金属類等)
(4)自動車(その部品を含む)
(5)自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部品を含む)
(6)自転車類(その部品を含む)
(7)写真機類(写真機、光学機器)
(8)事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機等)
(9)機械工具類(電機類、工作機器、土木機械、工具等)
(10)道具類(家具、什器、運動用具、楽器等)
(11)皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)
(12)書籍
(13)金券類
この中から数種を選択することが出来ます。とはいえ、自動車一本に絞って申請するのが無難ですね。生活安全課職員のなかには、しつこく質問してくる担当者もいます。
やる気・計画性(仕入れ、販売方法、場所等々)の口頭説明が必要になる事が多々あります。
その時にあれもこれもでは、許可そのものが下りない可能性も否定できなくなってきます。
後から業種を追加することは可能ですので、まずは免許そのものを手に入れる事を目的にしましょう。
(3)必要書類を準備する
必要になる書類は次の通りです。
①古物商免許申請書2通
②住民票2通(法人の場合は登記抄本)
③身分証明書2通(申請者の本籍が所在する市区町村長が発行するもので、申請者が「成年被後見人・被補佐人」に該当しないことを証したもの)
④登記事項証明書
⑤誓約書
⑥履歴書2通
⑦証明写真2枚
⑧賃貸借契約書コピー(借地や借家の場合)
※④、⑧は警察署によっては必要ないという所もありますので、申請書をもらいにいって説明を受けた時に、何も言われなければ必要ないということです。
(4)申請する為に再度警察署に行く
一通りの書類チェックをしてもらい、不備がなければ提出です。
この時に手数料の19,000円分の収入印紙を購入します。
※申請中に、警察官が直接様子を伺いに来る(実際に二人で来ました!申請場所が自宅でしたが何も問題ありませんでした。)ことや、近所で素行調査にまわることもあります。電話がかかってきて、いろいろ聞かれることもあります。
※申請書をもらいに行くときと、申請時の生活安全課では、担当者に好印象を与えることがスムーズに事を運ぶ鍵になるでしょう。
★生活安全課の担当者対処方法★
Q:学生さんはダメだよ!
A:中退します。(または最初から無職と言っておく)
Q:副業はダメだよ!
A:免許取得後、独立する予定です。先に免許取得しないと下りるまで無職になるので。
Q:1台分しか保管場所がないのに、車屋なんてできないだろ!
A:現在月極駐車場か、土地を探していますが、最初は経費をかけたくないので、1台で回す予定です。部品を主体に扱うので、駐車場の拡大はその次の予定です。
Q:店舗なかったらダメだよ。
A:自宅を事務所にして屋号をあげる予定です。インターネットで販売促進していくので、経費のかかる大きな店舗は不要です。
Q:自分のサイトから車を売るのか?
A:いいえ、インターネットは宣伝のみです。売買は普通にお客さんとのやりとりです。
(インターネットで自社サイトから、直接購入する場合は、別途申請書が必要になるので、ここでは、難しいことを言わない方がいいです)
これは聞いた話ですが、最近『便利だから』という理由だけで営業活動をせず、免許だけを取りに来る人が増えているそうです。
そういう人に免許を取らせない方針みたいですので、質問の時もそこをついてきます。たとえ『便利だから』という理由でも、ここは免許もらったもの勝ちですので、
あくまでも『真剣に商売をするんだ!』という態度で臨みましょう。免許をもらった後で、ちゃんと商売してるか調べに来るようなことはありません。
ちゃんとした店舗がないと、免許をくれない警察署もあるみたいです。これは、そういう理由ですので、商売をする意志をしっかりと伝えましょう。
新たなビジネスを始めようとするのに、経費のかかる店舗などを構える商売など、やっていけるはずがありませんよね。
今の時代は店舗や在庫などできるだけ経費をかけずに、インターネット等で販売促進しないと勝ち組には入れない!そんな店舗云々は大昔の話しです。
なんて力説するかは別としても気持ちは伝えましょう!
(5)古物商免許をとりに警察署に行く
問題なければ30日~40日くらいで交付されるはず。
許可が下りれば、電話連絡をしてくれるはずです。(^0^)
3.古物商免許取得後の準備
【古物商免許許可表示札の購入】
どこの車屋さんにも掲示してある表示札を警察署内の古物商防犯協会にて購入して下さい。
これは、免許申請した最寄りの警察署内ではなく、別の場所で販売していますので、販売場所は、免許をもらった時に教えてくれます。
自宅を事務所に商売をする場合は、家にこんなものは貼れませんので、将来、店舗を出すようになってから購入してもかまいません。
わたしは嬉しかったし、証(あかし)が欲しかったので購入しました。3~5,000円程度です。
免許証サイズの許可証は認可者全員にくれます。
【古物台帳】
古物商防犯協会で販売されている古物台帳を購入し、警察署の検印を受けてから記帳します。
取り扱いは以下の通りです。
(1)取引等は、その日のうちに記帳する
(2)行間を空けたり、ページを飛ばすことのないように注意する
(3)使用済みの台帳は3年間保存する
(4)消せないペンで記帳する
※この台帳は古物商防犯協会でなくても購入可能です。(代書屋さんやネットでも安く売ってます)
※これは何か盗難や犯罪があった場合に、警察が調べる為のものですので、誰にどんな車を売ったかという履歴さえ残しておけば、絶対にこの台帳に記入しなければならないというものではないので、無理に購入しなくても構いません。
わたしは「売買契約書」で代行していました。
【法律について】
インターネットで公開されていますので、確認してみて下さい。
・古物営業法
・古物営業法施行令
それではすべての前提になる「自動車商」許可証ですので頑張って取得してみてくださいね!
『フェラーリを原価で手に入れる方法❸』に続く~